
都市対抗野球
野球で日本一の都市を決める第80回都市対抗野球大会(日本野球連盟主催)が8月22日~9月1日に東京都文京区の東京ドームで開かれ、ホンダ(狭山市)が13年ぶり2度目の優勝を飾った。1日の決勝戦は2005年以来の自動車メーカー系チーム同士の戦いとなった。ホンダはトヨタ自動車(豊田市)と対戦し、4対2のスコアでトヨタを下した。2007、2008年と秋の日本選手権を連覇したトヨタも、都市対抗野球大会では重量打線を抱えるホンダに敵わなかった。
今大会にはホンダ、トヨタ自動車のほか、富士重工業(太田市)、日産自動車(横須賀市)、三菱自動車岡崎(岡崎市)、ホンダ鈴鹿(鈴鹿市)、ホンダ熊本(大津町)が出場。このうち富士重工業と三菱自動車岡崎は初戦敗退。ホンダ鈴鹿は2戦目、ホンダ熊本は3戦目で破れた。経営コスト削減のために創部50周年の今年限りで休部することが決まっている日産自動車は、4戦目の準決勝でトヨタ自動車と対戦し、0対1で惜敗した。
ホンダは、鷺宮製作所(東京都)、三菱重工神戸(神戸市)、東芝(川崎市)、NTT東日本(東京都)を破って決勝進出。一方のトヨタは、四国銀行(高知市)、日本新薬(京都市)、東京ガス(東京都)、日産を破って決勝戦へと駒を進めた。
開催80回の記念大会ということもあるが、今大会は例年にも増してマスコミの注目を集め、エコカー対決代理戦争と表現した記者もいた。最後の夏に挑み、都市対抗野球3度目の優勝を目指す古豪・日産の行く手を阻んだのは都市対抗野球で優勝経験の無いトヨタ。そのトヨタの初優勝の夢を打ち砕いたのは、国内新車市場でハイブリッド車販売の覇権を争うホンダだった。残念ながらエコカーの主軸に電気自動車を選択した日産、三菱、富士重の3社のチームは決勝まで辿り着けなかった。
ホンダの優勝の要因は、昨年休部した強豪・三菱ふそう川崎(川崎市)の4番打者・西郷泰之(さいごう・やすゆき)内野手が年初に移籍してきたことが大きい。プロ野球・巨人軍入団を切望してホンダに止まる3番打者・長野久義(ちょうの・ひさよし)外野手と4番の西郷内野手によって重量打線が完成。筑川利希也(ちくがわ・りきや)投手を中心とする守りのチームが、攻撃力を備えた。
しかも西郷内野手の加入効果は打撃力アップだけではない。過去3度の都市対抗野球優勝経験を持ちミスター社会人野球と称される西郷内野手から「選手が精神力を学び人間的に成長した」とホンダの安藤強(あんどう・つよし)監督は言う。
その西郷内野手を育てたのが昨年まで三菱ふそう川崎の監督を務めていた社会人野球界きっての名将・垣野多鶴(かきの・たづる)監督。三菱ふそう川崎の休部に伴って今年から古豪・NTT東日本の監督に就任し、低迷していたNTT東日本を3年ぶりの本大会出場、準決勝進出へと導いた。栄冠を手にした安藤監督は今大会の戦いを振り返り「準決勝のNTT東日本戦が最も苦しかった」と語った。